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2010-10-19

Moongiftよ、俺の背中を押してくれ!

恐らくこのブログの読者の皆さんであれば、Moongiftを愛読されている方が多いのではないだろうか。Moongiftはオープンソースソフトウェアや無料のソフトウェアを紹介するブログで、更新頻度も高いため俺も日々チェックしている。そのMoongiftが最近プレミアムユーザー向けの有料サービスを始めたのだが、なかなか申込むまでには至らないのだ。情報発信で対価を得るというビジネスモデルは個人的には応援したいと思っているのだが、それでも申し込もうという気が起こらないのだ。今日はその理由について色々と書いてみようと思う。

待てば記事が読める?

Moongiftのプレミアムサービスでは、一部のコンテンツだけをプレミアムユーザーだけに配信したり、記事の先行配信を行うといった試みがなされている。だが、そのサービスにはどうしても心が動かされないのである。特に先行配信には魅力を感じない。待てば読めるのだから。

現代人は忙しい。それは一見暇そうに見える(?)俺とて例外ではない。記事が読めなくても忙しいから「まあいっか。待てば読めるし。」となってしまい、執着心がわかないのである。

PVの損失?

せっかくの記事をプレミアムユーザーだけに限定して配信するということは、せっかくのPV獲得の機会を逸してしまう原因にはならないだろうか。コンテンツサービスにおいてPVはビジネスの原動力とも言えるものであり、PV獲得機会の損失はビジネス上好ましくない。先行配信やプレミアムユーザー限定公開というのは、お金を獲得する機会ではあるものの、PV損失というリスクとのトレードオフがあるのではないだろうか。

記事の公開範囲の限定はリスクがつきものだ。例えば、今のように記事単位で限定公開したり先行配信するのではなく、記事の8割程度を無料公開し、残りの2割程度を「もっと突っ込んだ内容」としてプレミアムユーザーに公開するというのはどうだろうか。PV機会の獲得に繋がるような導入部分の情報はこれまで通り無料公開し、そのうえでマニアックな情報をプレミアムユーザーに向けて配信するという寸法である。そうすれば多くの人の目にも触れるし、プレミアムユーザーも満足するだろう。

ライセンスビジネスモデル

PVを逸することなくビジネスをするもうひとつの方法として、通常のユーザーとプレミアムユーザーで記事のライセンスを分けるということが考えられる。記事の内容がまったく同じでも、ユーザーによってその利用範囲を変えるわけである。例えば通常のユーザーにはAll rights reservedで、プレミアムユーザーにはSome rights reserved、すなわちクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開するというモデルだ。例えば、記事のライセンスをCC-BY-NC(著作者表示 -- 商用利用不可)でプレミアムユーザーに対して公開すれば、プレミアムユーザーは記事を二次利用することが可能になる。(通常ユーザーはCC-BY-NC、プレミアムユーザーはCC-BYというように使い分けてもいいだろう。)クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについては本ブログでも過去に触れたので、そちらの記事を参照して頂きたい。

再利用性の高い有益な記事であれば、ソフトウェアと同じような「デュアルライセンスモデル」も不可能ではないだろう。

記事のデータベース化

Moongiftは更新頻度が高いため、これまで既に膨大な数のソフトウェアが紹介されている。プレミアムサービスのコメント欄にも書いたのだが、そういったソフトウェアを対応OSごと、機能ごと、ライセンスごとに分けて整理してくれたりすると、ソフトウェアを物色するときにとても役に立つ。特定の機能をもったソフトウェア、例えば「オープンソースのMP3編集ソフト」などを探そうと思ったとき、今はGoogleなどの検索エンジンを使うことが多い。だが、Moongiftに整理さた情報が掲載されていれば、多くの場合そちらを先に確認することになるだろう。

そういったデータベースがプレミアムユーザー向けのものであれば、払ってもいいかなと思う。

どういったデータベースがいいか?理想を言えば価格.comのような感じがいい。価格.comではジャンルごとに製品のカタログがあり、なおかつユーザーによるレビューや口コミが記載されていて商品を物色する上で非常に役立つ。それと似たような感じで、ユーザーによるレーティングや感想などが見えるデータベースであれば、「○○という目的のソフトウェアをさがす」という用途でとても役立つだろう。

価格.comは買い物全般をカバーするので、もしかするとソフトウェアにはなじまないかも知れない。ソフトウェア専用であればAndronaviのような感じのほうがいいかも知れない。

フリーウェア≠無料アプリ

ここが最も重要なポイントなのだが、フリーウェアという言葉を使うのはよくない。Moongiftの説明には「オープンソース・フリーウェアを毎日紹介するブログ」とある。フリーウェア??!!それは一体何のことかね?!!

オープンソースソフトウェアを紹介するサイトである以上、俺はそれ相応のオープンソースに対するリテラシーを期待してしまうのだが、フリーウェアという言葉はフリーソフトウェア(自由なソフトウェア)と混同してしまうため利用するべきではない。これは俺の意見ではなく、リチャード・ストールマンがエッセイ集「フリーソフトウェアと自由な社会」で述べていることである。(P.313を参照のこと。)フリーウェアではなく無料アプリや無料ソフトなど、無料なだけのプロプライエタリソフトウェアには「無料」であることがよく分かるような表現を用いるべきなのである。そういう意味では、価格について「FREE」という風に表現するのもよくない。この点についてはAndronaviにも修正して頂きたいと思う。

オープンソースとフリーソフトウェアは異なるものであるが、切っても切れない関係であることは言うまでもない。すなわち、オープンソースを語るにはフリーソフトウェアについても相応のリテラシーが必要なのである。

余談であるが、日本で無料なだけのプロプライエタリソフトウェアに対して「フリーウェア」とか「フリーソフト」という言葉が用いられるようになってしまったのは、Vectorの影響が大きいと思う。フリーソフトウェアの視点からするとVectorは間違いなく有害なサイトであるが、元々フリー(自由な)ソフトウェアに対するリテラシーのないサイトなので、改めてVectorを非難するようなことはしない。言っても効く耳を持たないだろう。だが、Moongiftは違う。オープンソースソフトウェアの紹介サイトを謳っている以上、正しい表現を用いることを期待してしまうのである。

Moongiftがフリーウェアという表現を改めない限り、俺がプレミアムユーザー登録することはない。

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